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大前研一氏のブログ

大前研一氏のブログ(4月4日付け)が、今もっともわかりやすくてマトモと思われます。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110404/265766/?ST=business&P=1

抜粋してコピペしますのでご一読を!

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●1~3号機すべてで炉心溶融している

福島第一原発は今、どういう状況にあるのか。

6基ある原子炉のうち、5~6号機は「冷温停止」に成功したということなので、私たちが心配しなければならないのは1~3号機の炉心と4号機の使用済み燃料プールになる。

さまざまな情報を総合してみると、1~3号機はすべて炉心溶融(メルトダウン)している可能性が高いと考えられる。そうでなければ、高濃度な放射能、しかも炉心にあったと思われる放射性物質がタービン建屋の地下やトレンチ(坑道)に多量に出てくることは考えられない。

また、海水の汚染も通常の3000倍、4000倍を超えるきついものになっている。これらが使用済み燃料プールから出た放射能によるものとはとても考えにくい。

●燃料の融点は2700度、圧力容器の1550度より高い

それから3号機の建屋から黒煙が2度にわたって立ち昇ったことに注目したい。

圧力容器は鋼鉄製なので過熱されても黒煙など出ない。もちろん冷却プールについても、8メートル以上深いところに置いてある使用済み燃料集合体が仮に上半分の水がなくなって露出しても黒煙は出ない。

おそらく燃料が溶融し、厚さ16センチもある鋼鉄製の圧力容器の底に穴を開け、格納容器の下にかなり落ちている、と考えられる。燃料である酸化ウランは融点が2700度なので、鋼鉄の融点1550度よりもはるかに高い。仮に水の中に落下したとしても、3センチしか厚さがない、格納容器の底を痛めている可能性が高い。場合によっては底に穴が開き、外部の物質と接触し燃やしてしまった可能性もある。

3号機から立ち上がる水蒸気は二筋あるが、私は一方は冷却プール、もう一方は格納容器の底部からのものと考えている。同時に注入した水の水位が高ければ、建屋の中のケーブル管などを通じてタービン建屋に汚染された水が漏れてきた、と考えられる。

圧力容器の上部から漏れたとする説もあるようだが、そこまで水位が高いということは考えにくい。それほど上まで水があれば、燃料が溶け出すということも考えにくいし、内部の圧力は大気圧と同じになっている、という別な情報とも矛盾するからだ。

●3月15、16日には炉心溶融していた可能性が高い

ではいつ炉心溶融が起こったのか? 

米ニューヨーク・タイムズ紙に出ていたグラフを見ると、なんと3月15日と16日に3回の大きな放射能の放出(サージ)が福島第一原発の正門付近の計測地で観測されている。

地震と津波の翌日12日には1号機で水素爆発が観察されているが、その時には放射能はほとんど検出されていない。つまり、15、16日の放射能のサージは水素爆発によるものではないことが分かる。

そうなると炉心で何か起きて、外部に放射能が飛び散ったことになる。炉心圧力容器は140気圧に耐えるので、そこから放射能が直接漏れ出たとは考えにくい。

やはり溶融燃料が炉心の底を溶かし、格納容器の底にたまった水の中に何らかの形で落下してきた、と考えるほうが自然だ。その一部、マグマのようになったウラン酸化物が底辺の鋼鉄を溶かし、外部に水漏れができるくらいの穴を開けていると考えられる。

格納容器は周囲を2メートルものコンクリートで固められているが、下の部分は人工の岩盤(マンメイドロック)であるので、おそらくそれを溶かすことはないと思われる。溶融したウラン酸化物が水に接すると水蒸気爆発が起こることも考えられるし、一時的に圧力が上昇して逃し弁から大気に放射能が放出された可能性もある。

●配管や配線パイプから水が漏れ出した可能性

東電の言っていることが正しければ、3号機のタービン建屋は3月23日にはドライであった。その後、3人の工事関係者が24日に行ったときに水が深さ15センチくらいたまっており、ベータ線火傷を負っている。

ということは、消火のために注入した水が格納容器内にもたまり、その水面以下のところにある配管や電線ケーブルパイプなどを通じて漏れ出していることになる。

経済産業省原子力安全・保安院は、上部のパイプなどから水が漏れた可能性がある、と説明しているが、その場合には圧力容器のかなり上部にまで水があることになる。そうなると燃料が溶けることは考えにくいので前ページの図に示されているサージが何であったのか、かなり説明が難しくなる。

 いま2号機と3号機は圧力容器の内圧が大気圧と同じになっているので、何らかの理由で外気とつうつうになっている。逃し弁から放射能が出たとすると、核暴走か水蒸気爆発が起っていたことになる。格納容器の底辺に穴が開いてしまっている、という説明のほうが辻褄が合うことになる。

●最悪の事態はすでに「過去形」か

どちらにして、もし燃料が溶け出して底に落ちてきているのなら、最悪の事態はすでに「過去形」かもしれない。炉心部にまだ燃料が大量に残っているのなら、溶け出してきたマグマの堆積の形状によっては依然として臨界になる可能性もある。

一方、すでに燃料の大半が底に落ちてしまっていれば、格納容器の底辺が平らであること、大量に水があること、ホウ酸がその水に大量に含まれていること――などを前提にすると、再臨界の可能性は低い

また、仮に再臨界となっても広い格納容器の底辺なら、核物質が瞬時に散って暴走は止まる。水蒸気爆発が起きても厚さ2メートルのコンクリートで固められた格納容器が飛び散ることはないだろう。

炉心の緊急停止から3週間以上も経っているので崩壊熱もかなり落ちてきている。メルトダウン(炉心溶融)を含めた最悪の事態はすでに15、16日の日に起きていた、と考える理由である。

原子力安全・保安院はこれを認め、事故を「レベル6」と認定し、今後は気の遠くなるような長期にわたる後処理に専念すべき時期に来ているのではないだろうか。

●汚染水をどう処理すべきか

こうした私の見方が正しければ、放水で冷却を続ける限り今後は放射性物質の外部拡散が徐々に減っていくことになる。しかし、放水などで冷却していては逆に汚染水があふれ出して周辺の生態系や海水を汚染し続けることになる。

私はタービン建屋で高濃度の汚染水が見つかったことに基づいて、やがてこれは建屋の脇から海に流れ出す可能性が高いと述べた。これについては実際、その後4月2日になってトレンチとピット(立て坑)から海に漏れている、と報道されている。臨界の危険性が少なくなるにつれ、今後の対策は冷却と汚染のバランスに移ってくることを示唆している。

冷却に関しては、タービン建屋に何らかの形で立ち入り、底にたまった汚染水を復水器から炉心に戻し、循環させることを優先的に模索するべきだ。緊急冷却系が使えるならそれでもいいだろう。

今のように毎日800トンもの水をポンプで外部から注入すれば、その受け皿が必要になるが、敷地内のラド・ウエイスト(放射性廃棄物)貯蔵用プールはおそらく満杯だろう。仮に空っぽであったとしても1カ月程度で満杯となる。

●原発をコンクリート壁で覆うのは慎重に

建屋の屋根や側面の窓が破壊され、水蒸気などに混じって放射性物質がかなり大量に飛散している問題をどう解決するか? 

アメリカやロシアは損壊した建屋をコンクリート壁で覆って、放射性物質の拡散を防ぐように言っていると思われる。

しかし、私はこれに対して簡単に「YES」と言うべきではないと思っている。

チェルノブイリ原発事故から20年以上経過した現在、原発を覆った「石棺」と呼ばれるコンクリート構造物は老朽化し、亀裂部から放射性物質が漏れ出てエコシステムに浸み出してきているからだ。

コンクリートは熱に弱いし、経年変化で風化するため、放射能を閉じ込めるのは容易ではない。さらに福島第一原発の場合には膨大な数の燃料集合体が冷却用プールにたまっている。これをコンクリートで閉じ込めるのは無謀である。

特に4号機の場合には燃料交換のため、すでに炉心の燃料がプールに移されている。つまり、崩壊熱は依然としてかなり高いレベルにあると思われる。そういう状態のものをコンクリートで封じ込めることはできない。

それよりも3~5年にわたって恒常的な冷却を施した後に、できるだけ多くの燃料集合体を搬出するべきだ。しかし、天井が大きく破壊されている状況を見れば、燃料集合体を正確に引き上げられるクレーンを建設するのは容易ではない。当然、人が十分に近づけるまで待たねばならない。

私は地震発生から1週間後の19日には、建屋全体を数年にわたってテントのようなもので覆ったらどうかと提案している。これで放射性物質の拡散をかなり抑えられるからだ。風向きによって一喜一憂する状態はこれでなくなる。

この案は政府も現在検討しており、その内容については30日付の朝日新聞朝刊が1面トップで報じている。

古いタンカーやメガ・フロートを持ってくる案も検討されているが、これもやはり数カ月で一杯になる。さらにそういう構造物をどこに廃棄するのか、廃棄するまでどこに置いておくのか、など派生的な問題がかなり苦しい。

福島第一原発が廃炉になることが決まれば、港湾の一部を封鎖して、そこに汚染水を流し込む作戦のほうが現実的かもしれない。もちろん恒常的な冷却ループができれば、それに越したことはない。

●使用済み燃料を移す「中間貯蔵施設」の問題

繰り返しになるが、まずは放射性物質の飛散を防いだうえで、依然として発熱し続ける炉心の温度を下げるため、3~5年はホウ酸を混ぜた真水で冷却し続けなければならない。その間、現場は高濃度の放射能で危険であるから、限定的な作業しかできないと思われる。

そして冷却プールの燃料集合体を取り出した後、つまり5年くらい後になってはじめて、廃炉になった建屋全体をコンクリート壁で封じ込めるという対策がとれるようになる。

米国のスリーマイル島原発事故でも数年後からロボットで作業をし、6年くらい経ってから人が入れるようになり、最終的にコンクリート漬けにされたのは10年以上経過してからである。

話は前後するが、3~5年後に炉心が十分に冷却された時期を見計らい、冷却プールにある使用済み燃料をキャスクと呼ぶ巨大な金属容器に10本ずつくらい入れて「中間貯蔵施設」に移す(炉心にある燃料は蓋を開ける装置が破壊されているのでおそらく取り出せないであろう)。

中間貯蔵施設は現在、青森県むつ市に建設中であるが、第一期工事で出来上がる800トンの容量はすでに予約で満杯だ。つまり、福島一号原発の使用済み燃料を移すときには第2期工事以降の中間貯蔵施設が完成していることが前提になる。いずれにしても5年以内ということはないであろう。

代案としては廃炉となり「永久立入禁止区域」となる福島第一原発内にある敷地(たとえば7号機、8号機用の用地)などに新たに設置するほうが現実的なのではないかと思われる。

●長期にわたって困難な作業が続く

その後、再処理により使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、残った燃料は通常、地下800~900メートルの場所に永久貯蔵する。

ただし、ここでも問題があって、日本にこのような永久貯蔵施設はない。ロシアなど他国に協力を仰ぐか、同じく福島第一原発の敷地内に永久貯蔵施設を造るしかないだろう。

以上が今後のシナリオだが、順調に事が運んだとしても10年、20年という単位で考えていかなければならず、今回の原発事故はかりに最悪期を脱したとしても、今後かなり長期にわたって困難な作業が続くと見たほうがよい。


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大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )
早稲田大学理工学部卒業(応用化学を専攻)。
東京工業大学大学院原子核工学科修士課程を修了、修士号を取得。
アメリカ合衆国のマサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科博士課程、工学博士号を取得。

帰国後の1969年に日立製作所へ入社。
高速増殖炉の設計に携わるが、2年後に退社。

同年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーへ転職する。
以後、省略。

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